私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「行ける人と行けない人…?どういう意味?」
それ以前に、質問の答えになって無いけど。
「西棟のすみに在る。……でも貴女が探しに行ってみたところで、見付かるかどうかは分からないけど」
(な…なんか一々言い方が気に障るのは気のせい?)
少女はそれっきり、答えるつもりは無いようで、再び本に視線を戻す。
「そ。ありがとう」
その態度に腹が立って、素っ気なく踵を返した。
「──あ、忘れてた。貴女、名前は?」
紗椰子先輩たちがうるさいから、一応名前くらい聞いておこう。
少女はゆっくりと視線を上げた。
その可憐な唇から紡がれる言葉は、少しだけ、喜びを含んでいるように思えた。
「エリカよ。──早乙女 エリカ…」