私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「瑠衣、あなたのこといつも苛めてたけど、それは可愛さあまって……なんだからね?」
「紗椰子先輩、分かってますよ。ありがとうございます」
「瑠衣って結構しっかりしてそうだけど、変なとこ抜けてるからなぁ。副会長、頑張ってよ」
「はい、双葉先輩。いつでも遊びに来てくださいね」
最後まで冗談めかして、双葉先輩と紗椰子先輩は学校を後にする。
寂しいけど……大丈夫だ。
「……これ」
最後に残った万里先輩が、ぶっきらぼうに右手を差し出す。
「…? なんですか?」
「生徒会室の鍵よ。冬休み中は暇なんでしょ。時々掃除とか、しておいて」
そう言う万里先輩はいつも通り無表情だったけど、私には彼女の言わんとすることが分かっていた。
──寂しくならないように、気を遣ってくれている…。
さっきのフォローの時といい、万里先輩は見てないようでさりげなく助けてくれる。
些細な優しさが、冷えきった体にじんと滲みた。