私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~


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「…うわぁ、大きい」

まず最初に口から飛び出した言葉はこれだった。


高等部の西校舎のはずれに位置する古い館。


私はエリカに連れられるまま、吹雪の中を歩いてきた。



「どうぞ、入って」

「…ありがと」


背の高い鉄の門を足早に通りすぎ、やけに広くて殺風景な(雪のせいで何も見えない)庭を渡って、ようやく玄関までたどり着いた。



「お帰りなさいませ、お嬢さま」

(お嬢さま-!?)


扉を開ければ待ってましたと言わんばかりに、メイドさんがやってきた。

あ そっか…早乙女さんは正真正銘のお嬢さまなんだっけ。




「エリカ様!この寒い中何処に──…おや、この方は?」

白髪をきっちりまとめた、初老の男性がエリカの元へ飛んできた。


「ただいま、雪村。今日はお客様を連れて来たの」

「…お邪魔します」

私は取り敢えず頭を下げた。



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