私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「お客様…ですか」
雪村さんは僅か驚いたように目を開いた。
こんなひっそりとした所にあるお屋敷なんだから、お客様が来るのは珍しいことなのだろうか。
私は無言で進むエリカの後に従った。
かなり昔からある建物らしく、廊下や階段に飾ってある絵や彫刻はどれも凄い値段が付きそうな品物ばかり。
私…ずいぶん場違いなところに来ちゃったんじゃあ?
そう思いながらまじまじと眺め歩いていると、エリカが止まった。
「ここが私の部屋よ」
開かれた扉の中は、やっぱりお嬢さまの部屋だった。
「お邪魔します…──大きい部屋だなぁ。これで一人部屋?」
「そうよ。この家には私しか居ないもの」
「へぇ…。私と同じだ」
私は寮で一人ぼっちの自分を思い浮かべた。
「好きな所に座って?お茶を淹れるわ」
やはり我が家に帰って来たからだろうか、エリカはいつになく顔色が良く、楽しげだった。