私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「ねぇ 一つ聞いて良い?」
「何?」
「どうして私を家に呼んでくれたの?」
初対面からして、エリカの私に対する態度は、友好的とは言い難かった。
エリカは沈黙し、目を伏せた。
私、何かまずいこと言った……?
「…初めてだったの」
「え… 何が?」
「他人に話し掛けたの。私、まともに同級生と話したことなんか無かったから…」
なんで、と聞こうとして止めた。
彼女が病気で休みがちだったのは知ってる。
「初めてって…あの時?」
あの、薔薇園を取り壊さないでという懇願。
エリカは手拭きを握り締めて頷いた。
「でもずいぶん堂々としてたじゃない。まるで女王様みたいだった」
「女王様?」
ぷっ とエリカの顔が吹き出した。
(そんな顔も出来るんだ…)
まるで花開くような笑みに、一瞬だけ見とれてしまったのは、ここだけの秘密。