私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
ドアを開けたのは雪村だった。
「お嬢様方、良く眠られましたか?」
「えぇ、でもちょっと寝不足かしら。あんなに遅くまで起きていたのは初めてよ」
エリカが私に微笑んだ。
昨日からして、エリカはずっとご機嫌だった。
彼女が楽しそうだと、私も楽しい気がする。
雪村もにっこりと微笑んいた。
「それはよう御座いました。─朝食の準備が出来ておりますが」
「そうね…瑠衣?」
「え?あぁ…いただきます。何から何まですいません」
私はソファから立ち上がった。
いくら絶えず暖炉を灯していると言っても、真冬の早朝はまだ寒い。
雪村は一礼して出ていき、エリカと私は無言で準備した。
──ふと…私、何してるんだろうと思った。
今まで話すどころか存在も知らなかったクラスメイトの家に図々しくも泊まっているなんて。
…でも居心地が良い。
多分、他のどの場所よりも、落ち着く。
(双葉先輩や紗椰子先輩が聞いたら、何て顔するだろう…)
─きっと『この女タラシ~』とかからかうに違いない。