私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



私は無視して、黙々とノーとに数式を写していく。



「ねぇってば」



エリカが私の髪をいじり始めたけど、やっぱり無視。




この手の話題は徹底的に避けていた。


あの人達のために一生懸命セリフや立ち回りを覚えていた頃の私は、もう居ない。


私はいつから、あの人たちに失望して…自分を軽蔑するようになったんだろう…?




あの人たちは──…






「お父様とお母様のことがあるから?」

「──っ」




『お父様』と『お母様』



私はビクッと体を怖がらせた。



「何で…そのこと──…」


「言ったでしょう?私はあなたのファンだって。
売れっ子脚本家の笹木 稔(みのる)と実力派女優の中河原 雅(なかがわはら みやび)を両親に持つ芸能一家のサラブレッド。
あなた自身、初等部から高等部に上がるまで演劇部のトップだったじゃないの。それに──」

「もういい、やめて!!」



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