私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
私はエリカから離れ、身構えた。
「エリカが私のファンだってことはわかった。でもあの人たちのことは言わないで」
「……どうして?」
「………」
「私にも言いたくない何かがあるのね…」
エリカは寂しそうに俯いた。
その表情に、私の胸はずきずき痛んだ。
…エリカと知り合ってから、一週間。
この短い間に私はエリカのことを沢山知った。
辛いものが苦手なこと。
犬好きで、昔メアリという犬を飼っていたこと。
背中に3つならんだ黒子があること。
…それに、病気のこと。
彼女は生まれつき肺に不全があって、埃や菌を吸い込んでしまうとすぐに苦しくなるという。
治療は続けているけど、いつ完治するかは分からない。
だからろくに学校へも通えず、毎日ベッドから外ばかり見ていた…と。
人に安っぽい同情をもらうのを心底嫌がるエリカ。
そんなあなたが私には心を開いてくれた。
私ばかりが、逃げてはいられない…。