私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



私はエリカから離れ、身構えた。


「エリカが私のファンだってことはわかった。でもあの人たちのことは言わないで」

「……どうして?」

「………」

「私にも言いたくない何かがあるのね…」



エリカは寂しそうに俯いた。

その表情に、私の胸はずきずき痛んだ。

…エリカと知り合ってから、一週間。

この短い間に私はエリカのことを沢山知った。

辛いものが苦手なこと。
犬好きで、昔メアリという犬を飼っていたこと。
背中に3つならんだ黒子があること。

…それに、病気のこと。


彼女は生まれつき肺に不全があって、埃や菌を吸い込んでしまうとすぐに苦しくなるという。

治療は続けているけど、いつ完治するかは分からない。

だからろくに学校へも通えず、毎日ベッドから外ばかり見ていた…と。




人に安っぽい同情をもらうのを心底嫌がるエリカ。


そんなあなたが私には心を開いてくれた。




私ばかりが、逃げてはいられない…。



< 194 / 238 >

この作品をシェア

pagetop