私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「ごめん、エリカ…。
聞いてくれる?私の話」
そっぽを向いていたエリカの頬に触れ、そっと視線を向けさせる。
「エリカは何でも話してくれた。
私のことも聞いてほしい」
「…良いわよ。何があったの?」
私はようやく語り始めた。
私の両親はさっき言った通り、二人とも芸能界に名を轟かせる大御所たち。
そして二人とも仕事第一人間だった。
二人は恋愛結婚らしいけど、それさえ嘘のような冷めっぷりの夫婦仲で、幼かった私と茉莉依はいつも二人の背中ばかり見ていた。
外面だけ良い仮面夫婦。
あの人たちの為にあるような言葉だ。
そして二人は子供にも無関心だった。
たまの休み、気まぐれで家に帰ってくる他は私たちの顔さえ見に来ない。
それでも親の愛情に貪欲だった私たちは、寂しさをひた隠しにして笑顔で二人に抱き付いていた。
両親は、私たちが演劇を始めるとことのほか喜んだ。
「さすが俺の子だ。将来が楽しみだよ」
「こんな才能を持った娘を持って母さんは鼻が高いわ」
そう言って頭を撫でてくれるのが本当に嬉しくて、私たちは夢中で演劇に没頭していた。