私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
ただ私たちは、彼らに愛されたかった。
優しく微笑んで、頭を撫でてもらいたかった。
それだけ。
それだけなのに……
「あの人たちが振り返ってくれることはなかった。
入学式や参観日や運動会、来てくれたのはおばあ様たちだけ。
どんなに甘えたって、冷たく手をはね除けられた。
…しかも、愚かな私たち姉妹はそれでも素直で賢い娘を演じてたの。
さすがに初等部を卒業するころには嫌気がさして実家には帰らなくなった。でも演劇はつづけてたの、それなりに思い入れあったから。でも……」
「……なに?」
「ある日気付いたんだ、私の演技は母親にそっくりだってことに。私は母の生き写しで、昔憧れていた女優がそのままいた。
耐えられなかった。今でもまだ許せない……」
私はそのまま膝を抱えた。
思い出すだけで苦しい。
何度優しい言葉に、笑顔に騙されただろう。
そして私は、なんて幼かったんだろう。
最初から求めなければ、こんな思いするわけなかったのに。