私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
* * * *
「おはよう。早く着替えたら?」
「おはよ。あぁ…そうだ、今日は始業式だったね」
私は既に制服を身につけ、優雅に本を読んでいるエリカを一瞥し、のろのろとベッドから出る。
既に心地良いくらいの温度まで暖まっている部屋では、私の活動は遅かった。
「お嬢様方、朝食の準備ができております」
ドアの外から雪村さんの声が聞こえて、私はあわててセーター服のリボンタイを閉めた。
「曲がってるわよ」
エリカはそう言って私のタイに手を伸ばした。
いつもと同じようで、いつもと違う朝。
エリカと出会ってからずっと、私の日常は新鮮で喜びの溢れたものに変わった。
「──そろそろ行きましょうか」
エリカは口の周りの丁寧にナプキンで拭いた。
さぁ、今日からまた学校だ。
「──ってエリカ、あなた登校しても平気なの?」
入学式にさえ顔を出さなかったほど肺の調子は良くないのでは?
「平気よ。私は今日から、輝ける学校生活を送るって決めたの。第二の人生よ!──あなたと一緒にね」
エリカは悪戯っぽく笑って、駆け出していった。