私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
教室はいつもより、騒がしかった。
理由はもちろん、入学以来ほとんど登校することの無い学園長のお孫さんの姿が、窓際の一番前の席にあるから。
「えぇと…早乙女さん?大丈夫なのかしら、今日みたいな日に登校なんかして…」
担任が困ったように言う。
無理もない。休み明けで使われてなかった教室には埃がたまっているから。
けれどエリカは、
「大丈夫です。お気遣いどうも」
なんて素っ気なく言い捨てるものだから、担任は泣きそうな顔をして後退した。
「ほんと…見事な女王様っぷりだね…」
私がぼそっと呟けば、エリカは斜め後ろの私の席を振り向いて眉をしゅんと下げた。
「別にわざとじゃないのよ…ただ、他人と話すときは緊張しちゃって」
「そういや私と初めて会ったときもそうだったね」
「そうよ!あの時はさっき以上に緊張したわ…」
本当に真っ赤な顔をしてエリカはうつむいた。
冬休み中の様子を考えると、そのセリフはなんだか笑えちゃうけど。