私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
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────そして、春休みに入った。
いつものごとく空になった寮を抜け出し、私は再び早乙女邸にお世話になっていた。
雪村さんや他の使用人さんたちも快く迎えてくれて、この家こそ我が家だと思ったくらい。
「ねぇ、本当に良いの?茉莉依ちゃんは……」
「良いの、いつものことだし。私が居なくたって茉莉依は一人でも大丈夫」
エリカは茉莉依のことをひどく気に入っていた。
初等部からのファンだったらしい。
「それにしても、本当に可愛いわよね、茉莉依ちゃん。私もあんな妹が居ればなぁ…」
「そんなに欲しいならあげようか?」
「馬鹿。どうせ最後には惜しくなっちゃうくせに」
「あは、その通りかも」
私はエリカの腰に手を回し、エリカは私の体にもたれる。
エリカより10センチ以上背の高い私は、自然と彼女を受け止める側になる。
「──ねぇ、瑠依?」
「ん?」