私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「……万里先輩は、もう学校にいるんだよね?」
新学期が始まる1週間前には、寮は開かれている。
多分万里先輩はもう入寮しているんだろう。
それで、先生に見られた…?
「…うん、今は謹慎中で、東の反省棟に居るって」
反省棟…
文字通り、違反を犯した生徒達が一時的に隔離される、学園の隅にある寂れた寮だ。
「私、万里先輩に会ってくる」
真実が知りたい。
エリカはそうだね、と神妙に頷いて見送ってくれた。
──きっとその目も、私と同じものを映していたんだろう。
私と…エリカの未来を。
常春の幸せが、すぐにでも壊れそうな状況にあることを。
私は何も言わずに万里先輩のもとへ…反省棟へ向かった。
…思えば、万里先輩のこと、あまり知らない。
元々万里先輩は多くを語る人じゃないし、私も強いて知ろうとは思わなかった。
それを今、後悔してる。
万里先輩も、私と同じ立場だったのに…。