私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「───瑠依…?」
「万里先輩……」
万里先輩は、今にも壊れそうな寮の薄暗い一室に居た。
寮の外観は早乙女の家と似ているが、醸し出す雰囲気はまるで反対だった。
全体から負のオーラを纏わせているような感じ。
けれど、唯一の住人である万里先輩だけは、黒い闇を孕んではいなかった…ように見える。
「どうしたの、こんなところまで」
「わ…私、その…噂を…」
なかなか率直に言えずに口ごもっていると、万里先輩はあぁ、と頷いて部屋に通してくれた。
…万里先輩の様子はいつもと変わらなかった。
まるで違和感も動揺も感じさせない。
「もう聞いたのね」なんて呑気に言っているし。
あぁ、やっぱりガセだったんだと安堵した手前、万里先輩はこう切り出した。
「瑠依、私ね、学校を出るわ」