私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「顔、溶けてるよ」
「えっ!?」
美優ちゃんが私の締まりの無い頬を摘まむ。
それにしても…顔が溶けてる、って酷くない?
「どうしたのよ。最近千雪変だよ?」
美優ちゃんが心配そうに訊ねてきた。
確かに…ここ数日の私は、顔も様子も腑抜けっ放しだと、自覚している。
「お昼休みになるとどっか行っちゃうしさぁ-。何、もしかして逢い引き?」
「ぶっ」
私は飲んでいたイチゴミルクを吹き出してしまった。
美優ちゃんてば鋭い……!!
「へっ?そそそそんな訳ないじゃん!!何言って…!」
「だよね-。逢い引きなら私に内緒はしないもんね」
美優ちゃんの一言にドキッとした。
罪を犯しているかのような後ろめたさ。
それでも……美優ちゃんには言えない。
誰にも、言えない。
言いたくない。
この不可思議な学園で、初めて自分の居場所を見つけたような気がするから…。