私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
──幸せには、なれない…。
「瑠依、貴女とエリカさんのことはなんとなく知ってるの。
だから気をつけて。今回のことで、いっそう風紀の規制が厳しくなると思うわ。
気付いてないかもしれないけど、貴女たちはすごく目立つから…」
万里先輩は本当に心配そうに顔を歪めた。
私は何も言わない。
…そんなの、今さらどうだっていいんだ。
確かに、クラスメイトから送られてくる視線が単なる好奇心でないことも、教師たちが私たちを問題視しているのも知ってる。
現に何度かそれとなく注意されてきたこともある。
けれどそれがなんだっていうの?
どんな人が何を言ったって、私たちを引き離す理由にはならない。
私たちは離れない。
万里先輩たちのようには、ならない──…。
「大丈夫です、先輩。先輩こそ…」
「私のことは大丈夫よ。色々迷惑かけるけど…許してね…」
──それが万里先輩との最後になった。
あの薄暗い反省棟に万里先輩を残して、私は夕闇の中エリカの元へ駆けて行った。
エリカに会いたい。
会って、強く抱き締めたかった。