私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「…そう…」
それだけ言って私は茉莉依に背を向けた。
茉莉依はまだ何か言いたそうに私に視線を寄越していたけど、そのうち静かに部屋を出ていった。
一人きりの部屋で、小さなため息をつく。
───とうとうきた。
万里先輩とおなじ状況にある私たちを、学園は警戒してる。
私たちが何か、『間違い』を起こしているのではないかと。
そもそも何が『間違い』なのか直ぐにでも直談判したいところだけど、やめておく。
今の小さな幸せを、みすみす壊したりはしない。
あの薔薇園は、世界で二人だけ、私たちだけのもの。
「…だから、もう学校には来るなって?」
言ってそうそう、エリカは鋭い目付きで私を睨みつけた。
「そうは言ってない。ただ、目立つのは止めた方が良いと思うし…」
「………いやよ、いや。私は瑠依が居るから学校に行っているようなものなのに」
「エリカ……」
そんな可愛い顔でふくれたら決心が揺らぐでしょ…。