私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
そんなわけで、私とエリカが表向き、縁を切ってから二週間ほどたった。
どうしても会いたい時は夜にこっそり寮を抜け出し、エリカの家を訪ねる。
そして数時間もしない逢瀬の後、再び自室に戻る。
…正直、本当にきつい。
最近は教師たちも夜中に見回りを強めているし、1日に一回、逢えるか逢えないか、みたいな感じだし。
でもそれはエリカも同じで、私たちは一刻も早くほとぼりが醒めるのを待つ。
…いっそ全校生徒の前で公表しようかとも考えた。
けれどエリカのことを考えると、やっぱり変に晒し者にはしたくなかった。
そんな風に苛立ちと不安ばかり募って、それは私の私生活にも影響を及ぼし始めた。
「お姉ちゃん、最近どうしたの…?」
夕飯も終え、寮のベッドに体を預けながら本を読んでいた私は、心配そうに顔を覗かせる茉莉依を一瞥した。
「どうして?」
「だってなんか…最近怖いもの。いつも眉間に皺寄せて、近寄るなってオーラ見せてる。……エリカさんのこと?」
茉莉依は繊細で勘が良すぎる。
だが今はその心づかいが煩わしかった。
「…別に。茉莉依には関係の無いことだよ」
それだけ言い捨てて、そっぽを向く。
エリカさえいれば、何もいらない。
優しさも、同情も。