私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
7
「…笹木 瑠依さん。笹木 瑠依さん。学園長室まで来なさい。繰り返します──…」
その放送が響いた瞬間、教室は僅かに波打った。
時刻は丁度昼休み。
私は当たり前のように一人でパンを食べていた。
生徒は殆んど食堂に出払っているとはいえ、残るクラスメイトたちの視線は残らず私に注がれていた。
その色に好奇心と不安が見てとれる。
彼女たちは感づいているのだ。
私が軽い用事で、しかも学園長室に呼び出されるわけないということを。
そして少なからず最悪のシナリオ──退学まで予想しているんだろう…。
(ほんっと迷惑…)
私は鬱陶しそうに彼女らの視線から逃れ、確かな足取りで学園長室に向かった。
まさかバレたなんてことは無いだろうけど、エリカ絡みなのは明らかだった。
学園長と言えば、エリカの実の祖母──…。
まさか、エリカの容体が急変したとか…?
そう思うと自然と駆け足になっていた。