私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~




「…笹木 瑠依さん。笹木 瑠依さん。学園長室まで来なさい。繰り返します──…」



その放送が響いた瞬間、教室は僅かに波打った。



時刻は丁度昼休み。

私は当たり前のように一人でパンを食べていた。


生徒は殆んど食堂に出払っているとはいえ、残るクラスメイトたちの視線は残らず私に注がれていた。


その色に好奇心と不安が見てとれる。


彼女たちは感づいているのだ。

私が軽い用事で、しかも学園長室に呼び出されるわけないということを。

そして少なからず最悪のシナリオ──退学まで予想しているんだろう…。



(ほんっと迷惑…)


私は鬱陶しそうに彼女らの視線から逃れ、確かな足取りで学園長室に向かった。



まさかバレたなんてことは無いだろうけど、エリカ絡みなのは明らかだった。



学園長と言えば、エリカの実の祖母──…。



まさか、エリカの容体が急変したとか…?



そう思うと自然と駆け足になっていた。



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