私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
ぐるぐる、回る。
めまいがして、気持ちが悪い。
私…私は、
「───あの子を助けるには、移植しかないの。」
突然、思考を破られた。
私を見る彼女の瞳はもう、涙を流してはいない。
何か、覚悟を決めた瞳だった。
「あの子を、エリカを──…アメリカにいる両親の元に行かせるわ。
そこで肺を移植して、空気の綺麗なところで療養させる」
分かるわね?と彼女の表情が告げている。
あぁ…本当に…。
こんなにも簡単に、日常なんて崩れるもので。
私の心はもう受け入れていた。
エリカの命と他のものなんて、比べようがない。
私はエリカを愛してる。
エリカ以上に大切なものなんて、この世に存在するの?
…でも、心の奥では全霊を掛けて拒否してる。
エリカと離れ離れなんか考えられない。
半身を失ってしまったら、生きていくことなんて出来ないのに。
それでも、大切なんだ…。
「学園長…」
私に残された道は一つ。
いや、最初から道は一つしかなかったんだ。
…私と、エリカが出会う前から。
「エリカを、よろしくお願いします。彼女を…救って下さい」