私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



エリカが…エリカが死ぬなんて、そんなこと、あってはいけない。


エリカにはいつも暖かい日差しの下で、微笑んでいてほしい。



だから、お願い、わかってよ──…




しかしエリカは尚も私の心を抉る言葉を投げつけた。




「私…私、瑠依が望むのなら男にだってなるよ?側にいられるならなんだって……。私、──」

「違う、エリカ、そんなことを言ってるんじゃない。よく考えてよ、」

「考えてる!でも瑠依と離れるなんて嫌!!離れるくらいなら、死んだほうが──っ」

「いい加減にして!!」




バシッ と二人の間の険悪な空気を引き裂く音が空しく響いた。


私はエリカを睨み、エリカは衝撃を受けて頬をさすった。




「…エリカは、何もわかってない」



私はそれだけ行って逃げ出した。

後に続くのはエリカの呼び声でもなく、ただ規則的に刻む私の靴の音だけ。



何も、考えられない。

考えたくない。



初めてエリカに手を上げた。

こんな日、一生来るはずないと思っていたのに。




彼女の頬を打った手は、そこだけがひやりと冷たかった。



< 228 / 238 >

この作品をシェア

pagetop