私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
エリカが…エリカが死ぬなんて、そんなこと、あってはいけない。
エリカにはいつも暖かい日差しの下で、微笑んでいてほしい。
だから、お願い、わかってよ──…
しかしエリカは尚も私の心を抉る言葉を投げつけた。
「私…私、瑠依が望むのなら男にだってなるよ?側にいられるならなんだって……。私、──」
「違う、エリカ、そんなことを言ってるんじゃない。よく考えてよ、」
「考えてる!でも瑠依と離れるなんて嫌!!離れるくらいなら、死んだほうが──っ」
「いい加減にして!!」
バシッ と二人の間の険悪な空気を引き裂く音が空しく響いた。
私はエリカを睨み、エリカは衝撃を受けて頬をさすった。
「…エリカは、何もわかってない」
私はそれだけ行って逃げ出した。
後に続くのはエリカの呼び声でもなく、ただ規則的に刻む私の靴の音だけ。
何も、考えられない。
考えたくない。
初めてエリカに手を上げた。
こんな日、一生来るはずないと思っていたのに。
彼女の頬を打った手は、そこだけがひやりと冷たかった。