私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
そんな私の視線に気が付いたのか、みんなより頭一つ分高い奈緒先輩が、ふっとこちらを向いた。
「っ!!」
うわぁ…多分私のほっぺた林檎みたいだよ……。
つかつかと取り巻きを引き連れて奈緒先輩が私のもとにやってくる。
私、自意識過剰なのかな?
奈緒先輩が一直線に私のもとに向かってるなんて……。
「ちぃちゃん」
奈緒先輩が私の前で止まって、正面から愛称を呼んだ。
「きゃあ-----!?ちぃちゃん?!ちぃちゃんって何?!」
「奈緒様とどういう関係なの?!」
う うるさい…。
耳が破れそうだよ……。
奈緒先輩もそう思ったのか、困ったように頭を掻いた。
うわ…どうしようこの騒ぎ。
美優ちゃんも困惑顔だ。
「──ちょっと、皆さん。此処は廊下よ?騒ぐなら外でしなさい」
凛とした声が少女たちの悲鳴を制止した。
あんなに煩かった連中を一声で黙らせるなんて。
この方は………
「静架!」
奈緒先輩がほっとしたように言った。