私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
これは何?
頭がぐちゃぐちゃで考えられない…。
私はただ目一杯茉莉依を睨みだけで、何も言い返せなかった。
「……どういうつもり」
やっと絞り出した声はカラカラに枯れていた。
「…私、お姉ちゃんとエリカさんのことはよく知らない。だから言えるの。…ちゃんと向き合って」
ちゃんと向き合って。
何かが、弾けた気がした。
ぐるぐるとした思考が、少しずつクリアになっていく。
「ちゃんと話して、エリカさんと。それではっきりさせてよ、これからのこと」
これからの…未来?
一気に気が抜けてその場にへたりこんだ。
ああそうだ…私は一番大切なことを忘れていた。
(エリカのためと言い張って、エリカの気持ちを無視してきた…)
あれだけお互いを思いながら、私たちは相手をはっきり見ることが出来なくなっていたんだ。
『近すぎる』
「…分かってなかったのは、私だったのか…」
茉莉依を見据えて、はっきりと口に出した。
「…ありがと。あんたは私の自慢の妹だよ」
「お姉ちゃんだっていつも私の憧れだよ」
膝を軽く払ってドアへ向かう。
エリカのもとへ。
………もう一度、愛を伝えるために。