私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「もちろん、あなたは大切よ。多分世界中探したって見つからないくらい。
でも、私はその『世界』を知らないのよ。なんだか可笑しな話じゃない?
だから、知りに行きたいのよ。
………瑠依?」
一気にまくし立てて、エリカはふと私を見た。
「泣かないで…」
白く細い指が、私の頬に触れた。
その時初めて、私は自分が泣いているのに気付いた。
どうしてだろう…
悲しい…わけじゃない。
辛いわけでもない。
ただ…ただ、胸がきゅうと締め付けられるような、鈍い、痛みが。
「エリカ…」
涙は流れるままに、はらはらと。
「私だって同じだよ…。何も、見えていなかった。私たち、二人だけで良いと思ってた。
でも…それって虚しいよね。きっとそんな世界、つまらない。そう思えるようになった。
だから……、私も探してみる。
エリカの言う『世界』を私なりの形で。
だから…それまで───」
それから先は言わなかった。
これは別れなんかじゃない。
二人の旅立ち、新しい門出なのだ。