私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
しばらくの間、静寂が二人を包んだ。
表現し難い、複雑な感情──寂しさと、不安と、希望が、雫となって私たちの頬を濡らす。
いつもと同じように、私たちは頭をコツンと寄せ合って、互いの温度を感じていた──…。
「一つ、約束をしましょう」
そうエリカが言ったのは、エリカがアメリカに経つ3日前のことだった。
「ただし、守っても守らなくても良いのよ。賭け事みたいなもの。
─────…………」
そうして、エリカは去っていった。
私は見送りにも行かなかったし、特別な何かをしたわけでもなかった。
これは別れじゃない──そんな意地が、最後の涙さえ押し止めてしまったのかもしれない。
(……でも、これでいい。)
私はエリカが見ているだろう広い青空を仰いだ。
ねぇ、エリカ。
私 ずっとここにいるから。
二人で過ごした日々を、大切に守り続けているから。
だから、約束…守ってね。