私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐






いつのまにか、雪は止んでいた。


さっきまでの喧騒が何処へやら、すっかりと外は静まり帰っている。



私はすっと席を立ち、思い出の教室を後にする。



校舎の中にはちらほらと、長年親しんだ母校を感慨に浸りながら回っている生徒たちがいた。




あぁ…今日が最後なんだ。




目に涙を浮かべて思い出を語る彼女たちを見て、初めてそう思った。


そして、おもむろに歩調を速める。




どうしよう、どうしよう。


エリカに、会いたい!!





私はほとんど駆け足で約束の場所へ向かった。


そこでは相変わらず、冬の厳しさをも糧として色づく薔薇たちが、白雪の間から顔を覗かせていた。



(エリカ…今日が約束の日だよ)



エリカが提案した、あの日の約束───。













「 瑠依 」













………、夢にまで待ち望んだ声が、私を呼んでいる──。




< 236 / 238 >

この作品をシェア

pagetop