私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
私はゆっくりと声のする方を捉えた。
「……エリカ、」
『来年の卒業式、私たちがちゃんと…成長出来ていたら、この薔薇園でもう一度、会いましょう。
それまでに私が…生きていなかったり、今と変わっていないようなら、私は来ないわ。だから瑠依も自分で決めて。』
エリカ。
エリカ。
私の目の前に立つ彼女は、記憶にあるよりも一層美しく、気高く、優しかった。
「…おかえり、なさい」
「ただいま…」
昔の私たちならば、相手の顔なんてろくに見ずに胸に飛び込んで泣いていたかもしれない。
二人とも満足そうに、胸に広がる喜びを受け止めている姿に改めて月日の流れを感じた。
エリカは潤む瞳で微笑み、そしてゆっくりと私の頬に触れた。
「愛してるわ」
あぁ、ずっと。
ずっと待ってた。
私たちは恥ずかしそうに顔を見合せ、…──ゆっくりと唇を近づけた。
第3章 完────