私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「全く、ファンサービスも大概になさいっていつも言ってるでしょう」
「ごめんごめん」
静架先輩がめっ と奈緒先輩が注意した。
奈緒先輩も反省したように笑った。
──ズキン
(ファンサービス……そうか、そうだよね……)
奈緒先輩にとって、私なんか他にごまんといるファンの1人でしかない。
それなのに、奈緒先輩の内側に触れた気になって、思い上がって、馬鹿みたい……。
「夏目さんも、ごめんなさいね?」
奈緒先輩が取って付けたように詫びた。
この言葉で私の心がどんなに傷付いたか、奈緒先輩には分からないだろう。
私は泣き笑いのようになって「いいえ……」と残すと、顔を伏せて立ち去った。
後から美優ちゃんが心配そうに追ってくる。
でも私は止まらなかった。
こんな惨めな気持ち、誰にも触れられたくなかった。