私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



「全く、ファンサービスも大概になさいっていつも言ってるでしょう」

「ごめんごめん」


静架先輩がめっ と奈緒先輩が注意した。

奈緒先輩も反省したように笑った。




──ズキン





(ファンサービス……そうか、そうだよね……)


奈緒先輩にとって、私なんか他にごまんといるファンの1人でしかない。



それなのに、奈緒先輩の内側に触れた気になって、思い上がって、馬鹿みたい……。





「夏目さんも、ごめんなさいね?」



奈緒先輩が取って付けたように詫びた。



この言葉で私の心がどんなに傷付いたか、奈緒先輩には分からないだろう。





私は泣き笑いのようになって「いいえ……」と残すと、顔を伏せて立ち去った。




後から美優ちゃんが心配そうに追ってくる。



でも私は止まらなかった。




こんな惨めな気持ち、誰にも触れられたくなかった。



< 24 / 238 >

この作品をシェア

pagetop