私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「でね、歩ったらおかしいの!!───」
美優ちゃんと笑い合いながら廊下を歩く。
最後の授業が終わり、後は掃除とHRだけとなった今、私と美優ちゃんのテンションも、いつもより高い。
( あ )
ふと目を前に向けると、大好きな奈緒先輩が斜め前500mくらい先にいた。
幸い他の生徒も見当たらなかったので、思いきって声を掛けることにした。
「奈緒先ぱ───」
…声を掛けようとした刹那、止まった。
奈緒先輩は、1人ではなかった。
もう1人──西宮 静架先輩が、奈緒先輩の隣で微笑んでいる。
私が驚いたのは、それだけでは無い。
……目の前にいる奈緒先輩が、今まで見たことの無いような、幸せそうな顔をしていたから。
二人きりの時には見せたことの無い、奈緒先輩の違う顔───
(あの人は…奈緒先輩…?)
私に気付くことなく、奈緒先輩と静架先輩はそのまま去っていってしまった。