私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
その姿を見た瞬間、私は先日のことを思い出した。
必死で忘れようとした考えが、一気に押し寄せる。
「ここ、失礼しても良いかしら?」
「あ はい………」
私は奈緒先輩が座るはずだったスペースを空けた。
………気まずい。
「あなた、此処で奈緒と会ってたの?」
おもむろに静架先輩が切り出した。
「あ はい…。偶然迷い込んで、それで…」
「そうだったの。……そうね、なんとなく分かるわ」
何が分かると言うのだろう?
私が?を浮かべていると、静架先輩は苦笑した。
「いきなりこんなこと言われても困るわよね。──あなたが、奈緒に似ていると思ったの」
「私が……?」
この人も、奈緒先輩と同じことを言うんだな…。
「何て言うか、雰囲気とか。だから、奈緒もあなたを許したんじゃないかしら」
静架先輩は呟くように言う。
「あの………」