私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



「まぁ、奈緒を追っかけ回している内に校内はあらかた把握したから案内なんか意味なかったけど」

「それは……すごいですね」

「ふふ、すっぽんみたいでしょう」


食い付いたら放さないとは、まさにこのことか。


私は嫉妬を通り越して呆れた。






「…この薔薇園もね、私が奈緒を追っかけ回していた時に見付けたの」

「───え…?」

「私、この薔薇園をどうしても奈緒に見せたくて、連れて来たの。……そしたら奈緒、泣いちゃって。
『そんなに気に入ったなら、あげるよ』って言って、以来此処は奈緒の秘密基地なの」



最初にこの薔薇園を見付けたのは……静架先輩──?




「あら、私もう行かなきゃ。──またね、“ちぃちゃん”」




言いたいことだけ言って、静架先輩は去っていった。







──私を“ちぃちゃん”と呼んで良いのは、奈緒先輩だけ…………



私は今までになく、混乱していた。



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