私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
5
とは言ったものの、あれから5日、薔薇園には行っていない。
美優ちゃんという理解者を得て、私の心はずいぶん自由になったけれど、胸を貫くこの思いは癒えない。
それでも……、
───会いたい。
ただ一つ、この想いを理由に、私は今再びあの場所へ向かおうとしている。
(……私、優柔不断だよなぁ)
薔薇園へ行く道すがらそんなことを思う。
悩んでは離れ、離れては逢いたくなって……それの繰り返し。
この性格、直したい…。
そんな風に悶々としていると───
「─だから、どうして来ないのかって聞いてるのよ!」
静かな薔薇園には不釣り合いな、大きな声。
この声には、聞き覚えがあった。
(──静架先輩…!?)
私は急いで声のする方へ向かった。
「静架先輩!?何が──」
瞬間、私は咄嗟に生垣の裏に隠れた。
「─静架には、関係無いんだよ!!」
私の聞いたことの無い、怒鳴り声。
──奈緒先輩と静架先輩が、口論している。