私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
(それにして……本気でまずくなってきた!?)
あわあわと青ざめていると──
「違う!静架、私はあなたのことが──」
奈緒先輩は乱暴に静架先輩を抱き寄せる。
(え………)
そしてそのまま、奈緒先輩は唇を静架先輩のそれに押し付けた。
「────。」
世界が、止まった。
「っ!! 放してっ!!」
静架先輩の声で我に返った。
今のは、何──?
静架先輩は袖口で唇を抑えながら、怒りなのか驚きなのか、顔を赤くしたり青くしたりしていた。
奈緒先輩は放心したように、静架先輩をただ一点、見つめている。
「───っ」
沈黙に耐えかねた静架先輩が、無言で去って行く。
私はあわてて茂みに隠れた。
たった数秒間のできごと。
それでも、私たちの日常を壊すには十分なできごとだった。