私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
──会いたい、けど会ってはいけない。
そんな日が何日か続いた。
私には美優ちゃんという味方がいるから、この前みたいに鬱の状態が続いた訳じゃないけど……。
やっぱり、楽しみにしていた演劇祭というものは、私にはちょっと辛い。
だけど周りは
「奈緒様の衣装姿見まして?!本当に麗しい──!!」
「今回の役どころは令嬢に惚れた庭師ですって!どんな劇なのかしら!」
「その令嬢役はもちろん静架様でしょう?お似合いの二人ですもの!!」
とか、心は既に明日の演劇祭に向かっているようだ。
美優ちゃんは「大丈夫?」と私の肩を叩く。
「ん、大丈夫だよ…。それにしても…演劇祭って毎年こんなに盛り上がるものなの?」
「まぁ、こんな辺鄙な学園での、数少ない行事だからね-。演劇部くらいしか崇めるものも無いし」
「あ 崇めるって…」
「ある意味そんな感じじゃない?演劇部っていう宗教が出来そうな勢いじゃない」
確かに…。
他の生徒のうかれっぷりを見たら否定は出来ない。