私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
私はざわめく体育館の特設舞台の一番真ん中一番前という、とても美味しいポジションについた。
席は二階にまで埋め尽くされているが、それでも生徒数には及ばないので、全席完全指定。
そのせいで、無料のはずのチケットが毎年高額でせり落とされるのだ。
だから一番良い席にいる私が演劇部のファンでもなんでもないことに、生徒たちが首を傾げている。
しかし、そんな針のように鋭い生徒たちの視線に気付かぬほど、私の意識は張りつめていた。
(奈緒先輩……)
大好きなひとの、晴れ舞台。
気まずい関係ではあるものの、お目にかけれると考えただけで、頬が赤く染まってしまうのだ。
叶うはずのない気持ち…。
時々、どうして私だけがこんなに苦しい思いをしているんだろう、という焦りに襲われる。