私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



───わぁっ

拍手と共に上がる幕。

私が瞑想しているうちに、舞台は始まったようだ。





スポットライトを浴びた奈緒先輩は、言い様もないほど素敵で。



いつもの姿とは違う、役に入りきった顔は、きりりと引き締まっている。



そして、その隣にいるのが不思議なくらい似合っている、静架先輩。



私は泣きたくなる。





『あぁエリザベス!貴女の為ならこの卑しい命さえ、簡単に捨てられる!』

『愛しいラディール…。その言葉がまことなら、私を連れて逃げてください!』




情熱的な愛のことば。





それが決して役だけのものではない、とさえ思えてくる。








(私の入る隙間なんか、ないじゃない…)



二人の世界はもう完成されているのに。

最初から余地なんかなかったんだ。






──それなら、私は…









歓声と共に、幕が下りた。

観客に向けた奈緒先輩の晴れ晴れとした顔が、私を捉えて離さない。



< 54 / 238 >

この作品をシェア

pagetop