私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
───わぁっ
拍手と共に上がる幕。
私が瞑想しているうちに、舞台は始まったようだ。
スポットライトを浴びた奈緒先輩は、言い様もないほど素敵で。
いつもの姿とは違う、役に入りきった顔は、きりりと引き締まっている。
そして、その隣にいるのが不思議なくらい似合っている、静架先輩。
私は泣きたくなる。
『あぁエリザベス!貴女の為ならこの卑しい命さえ、簡単に捨てられる!』
『愛しいラディール…。その言葉がまことなら、私を連れて逃げてください!』
情熱的な愛のことば。
それが決して役だけのものではない、とさえ思えてくる。
(私の入る隙間なんか、ないじゃない…)
二人の世界はもう完成されているのに。
最初から余地なんかなかったんだ。
──それなら、私は…
歓声と共に、幕が下りた。
観客に向けた奈緒先輩の晴れ晴れとした顔が、私を捉えて離さない。