私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「ど……して、そう思うの?」
焦りを隠しきれない様子で奈緒先輩がうつむく。
「…この前、見ちゃったから…」
嘘。本当はもっと前から気付いてた。
けれど何故か、言いたくない。
「…そう」
一呼吸の後、奈緒先輩は言い、そしてこう続けた。
「うん、好きだよ」
迷いの無い返事、そして心から慈しむような表情に、私は何故か安心してしまったのだ。
(それが聞ければ十分。)
悲しみよりも安堵の方が上回って、涙も出なかった。
多分、二人の絆は紛れもない真実だから。
だから私は、純粋に応援したいと思えたんだ。
「そうですか…。頑張って下さい」
私は微笑んだ。
嫉妬や悲しみを全て取り払って。
予想外だったのか、奈緒先輩は何も言わない。
私は「失礼します」とだけ言って、立ち去ろうとした。