私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
永岡 奈緒、16歳。
今日から私立白百合女学園の高等部一年に進学する。
進学…と言っても、厳格な親に育てられた私は、深窓の乙女たちが「花よ、蝶よ」と慈しまれるこの学園に、初等部から通っている。
全寮制なのでかれこれ10年ほど過ごしている白女。
家族より多くの時間を共にしていても、私はこの特殊な空間に馴染むことは出来なかった。
(あぁ……今日からまた始まるのか……)
ガチャ と寮から学園へと続く門が開かれる。
いつもこの瞬間が一番嫌だ。
なぜなら……
「きゃあっ 奈緒様がご登校なさるわ!」
「いや-ん 朝からお麗しいっ おはようございます~!!」
「ちょっ 抜け駆けは無しよ!奈緒様、今日も1日頑張って下さいね!!」
あなた達が消えてくれれば頑張れるよ。
私は心うちにそう毒付くと、きゃっきゃっ騒ぎ立てる彼女らに見向きもせず、背の高い門をくぐり抜けていく。
さぁ、奈緒。
今日も1日耐えるのよ。