私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「……っ」
もはや毛が逆立った猫のようにいきり立つ静架。
私はほんのちょっと、やりすぎたかな、と考えた。
「あ…あなた、奈緒様になんてことを…」
先ほどから傍観していた生徒も、彼女の剣幕におののいている様子。
それもそうだ。なんたって私は演劇部のトップスターなのだから。
「奈緒“様”?そんなのどうでも良いわ。私の知ったことじゃ無い。──永岡さん」
「何かしら?」
軽くプライドを傷つけられた私は、むすっと返事した。
「私、あなたが大嫌いだわ」
「だから何なの?」
初対面で大嫌い発言。
私は自分の仕打ちも忘れて切れかけていた。
「だから私、あなたが何と言おうとあなたに案内してもらうわ」
「………は?」
これにはさすがに驚いた。
嫌いだから…案内してもらう?
何の関係があるというのだろう。
「このまま馬鹿にされて黙っていられるものですか。絶対あなたに負けを認めさせてあげる」
──覚悟なさい?
これ以上に無いほど、優雅な笑みをたたえていた。