私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
その日から、例の彼女──西宮静架は、執拗に私に付きまとっていた。
「永岡さんっ」
この声を聞かない日は無い。
席が隣だから、なかなか逃げられないし……
あぁっ 鬱陶しい!!
「永岡さん、今日はひ──」
「暇じゃないわ。さようなら」
放課後になってすぐ、いつものように静架が話しかけてきた。
毎日毎日…どうしてこんなに続くのだろうか。
私は鬱陶しさを越えて、呆れてしまう。
「待って、永岡さん」
「……何」
心底面倒臭そうに答える。もともと愛想が良い方では無いけど、最近特に態度が酷くなっていると思う。
「私ね、演劇部に入ることにしたの」
──バサッ
私は衝撃のあまり鞄を地面に落としてしまった。
彼女は、今 なんて?
「だから…よろしくね、奈緒“様”」
彼女が向けた完璧な笑顔も、悪意で満ちた醜いものに見える。