私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「……んで」
振り絞った声はあまりに弱々しい。
視線を床に固定したまま、私は体を震わせた。
「なんで…演劇部に?」
「え?あぁ…前から演劇はしていたし、入る気はあったのよ。昨日見学に言ったら、あなたがトップだって言うじゃない。奈緒“様”なんて崇められてる理由がわかったわ」
私の新生活は、彼女によって目まぐるしく変化した。
自らの意思でなく、自分には制御できない領域へ。
(いい加減にしてよ……)
得意げに笑っている彼女を見ると、無性に腹が立った。
私はこんなに乱されて、振り回されて。
私は平穏な生活を望んでいたのに…。
「これ以上、私を振り回すのは止めてよ!!」
いつもとは違う悲痛な剣幕で叫んだ。
空気が凍りつく。
静架は何も言わない。
「………っ」
空気に押し潰された私は、鞄を拾って駆け出した。
部活には行かない。
この胸のもやもやは、どうすれば良いのか──。
そればかり考えていた。