私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「瑠衣(るい)さん……」
「やっほ-、奈緒ちゃん」
私は振り返り、背中にくっついている少女を引き剥がす。
少女は屈託の無い笑顔を輝かせた。
彼女は……笹木 瑠衣。高等部二年の先輩で、元演劇部のトップ。
中学までは一緒に部活をしてた仲だけど、瑠衣さんが高校に上がって生徒会に入ってしまったため、会うのはかなり久々だ。
「相変わらずクールなお顔ね、崩したくなるわ」
「遠慮します。──瑠衣さん、生徒会は?」
今暇だから良いの~ と無邪気に言う瑠衣さん。
私と同じくらいの背丈なのに威圧感を感じないのは、その奔放な性格ゆえだろう。
「何か悩んでるみたいだね-、らしくない」
「悩みくらい私にだってありますよ…」
「ふぅん。このお姉さんが何でも聞いてあげるよ?」
珍しく大人しい私を不思議に思ってか、親切な申し出が。
だけど…自分でも良くわからないのに、相談なんか出来ないし…。