私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
翌日、飽きもせず静架は私の耳元で「いい加減案内してよ」喚いていた。
「ほんっと強情よね、永岡さんって」
「あなたに言われたく無いわ」
几帳面に教材を揃え、てきぱきと帰り支度をする私。
すると私が無視するのも構わず喋り続ける静架は、はたと手を止めて、途端に怒りを露にした。
私は反射的に身構える。
彼女は一度爆発するとなかなか収まってくれないのだ。
「そう言えば永岡さん──昨日、演劇部来なかったわよね?」
「へ?」
どうせ昨日の夜のことを言われるだろう、と返事を何パターンも考えていた私の口からは間抜けな声が飛び出す。
「どうして来なかったの?私が居たから?」
「それは…」
『その通りです。』
なんて私のプライドが許す筈もなく。
結局「あなたには関係ないでしょ!」──と、狼狽しているのがバレバレな顔で返してしまった。