私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「──奈緒っ!!」
瑠衣さんに呼び止められたのは、私がふらふらと教室を出た直ぐ後だった。
「奈緒、あんた…どうしたのよ?」
私の腕を引き、珍しく真面目な面差しで心配している瑠衣さん。
私はふるふると首を横に振った。
「別に…ちょっと体調が悪いだけです」
瑠衣さんには悪いけど、早く一人にして欲しかった。
誰にも関わりたくない、触れられたくない。
しかし瑠衣さんは、半ば自棄になっている私をしっかり掴んだまま、一直線に歩き出す。
「体調が悪いなら、尚更ね。そんなんじゃ一人にはさせれないわ、ひとまず保健室に行くよ」
私を病人だと思っているのだろうか?
お構い無しにどしどし進む瑠衣さんに圧倒されながら、私ははっきりとこの声を聞いた。
『──貴女達が、永岡さんに何をしたって言うの?』
一声で分かってしまう自分に驚いた──静架の声だ…。