私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
反射的に瑠衣さんの手を振りほどき、思わず声のする方へ駆け出した。
「ちょ…っ 奈緒!?」
「ごめんなさい瑠衣さん!!私、やっぱり元気だった!!」
後方で狼狽えている瑠衣さんに大声で返していると、女子トイレについた。
放課後のガランとした空気とは裏腹に、黒い雰囲気が流れている。
──静架は、数人の私の取り巻きに、囲まれていた。
「……っ」
洗い息も切れ切れに、私はその様子を見守った。
おそらく、彼女たちは静架に『対処』しようとしているのだろう。
しかし静架は口を一文字にして、憮然と立ち向かっている。
「あなた… 生意気なのよ!転校生かなんか知らないけど、奈緒様の優しさにつけこんで付きまとって、いい加減にしなさいよ!!」
取り巻きのリーダー格──佐藤 綾音(あやね)がヒステリックに叫んだ。