私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「永岡さんのこと好きなら、もっとちゃんと考えてから行動しなさい。貴女達の軽率な行動が、私たちの活動にどんなに影響を与えるか、知っておくべきよ」
その顔はもう女優のものだった。
誇り高き女王──今の静架はそれを演じているのかも知れない。
「さっきから…黙って聞いていれば勝手なことを…っ!!」
その時、顔を屈辱で真っ赤に染めた綾音が、静架に掴み掛かった。
(いけない……!!)
そう思った時にはもう、飛び出していた。
──パンッ
乾いた破裂音が、静かな女子トイレに響き渡る。
「な──奈緒様…!!」
「永岡さん……?」
私は身を乗り出し、静架が受けるはずだった綾音の平手打ちを、顔で受け止めた。
「あぁ… 奈緒様のお顔がっ…」
「ちょっと綾音、やりすぎよ!!」
「な 奈緒様、大丈夫ですか!?」
広がる困惑の波紋。
私はゆっくり綾音を見据えた。