私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
3
「まだよ!まだ目を瞑っていて」
「えぇ-まだなの?足元が怖いんだから早くしてよ」
私は始終楽しそうな静架に手を引かれて、『良いところ』に向かっていた。
「驚かせたいから目を瞑って!!」と言って聞かない静架に、渋々ながら同意したのは……10分ほど前のこと。
真っ暗闇の世界とおぼつかない足取りで、私は若干苛ついていた。
「ねぇ、まだなの!?いい加減開けるよ!!」
「あっ待ってよ……すぐそこなの。──ほら」
言われるままにしてゆっくり、瞼を上げてみた。
「───…」
ここは………
「ね 綺麗でしょう?あなたを追いかけ回してるうちに、偶然見つけたの」
嬉々として飛び回る静架。
私は呼吸すら忘れて、その光景を眺め回していた。
潤む緑の木々。
艶やかに舞う蝶。
そして……
喜びに咲き誇る、色とりどりの薔薇の花。
ここは、
私が見付けたくて仕方がなかった、あの薔薇園だ──。