私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



その日から私たちは、徐々に親しくなっていった。


静架のとげとげしさも無くなり、私の無愛想も消えていったと思う。


互いに認め合えたかんじ。



静架は演劇の才能もかなりあった。

情熱的な乙女が一番はまっていて、すぐに演劇部内でも頭一つ飛び出ていた。

今ではファンクラブというものも存在し、一躍静架は学園の有名人に登り詰めた。








──あの日、あの夕暮れの中。



私と静架は何も言わなかったけど、心で会話していたみたいに、色んなことが分かった気がする。


言葉で表すのは難しいけれど、なんだか、優しい気持ちになれた。



とうとう日が完全に沈むという時になって、まだ涙の筋が頬に張り付いている私に、静架が笑いながらこう言った。


「そんなにこの場所が気に入ったなら、あなたの秘密基地にすればいいわ──仲直りのしるしに」




それから私は、ほとんど毎日薔薇園を訪れている。



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