私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「ん-、それにしても静架嬢、どうやってこの能面を手なづけたの?」
「「へっ?」」
稽古も一通り出来た、額にうっすらと浮かび上がった汗を拭き取っていると、出し抜けに瑠衣さんが口を開いた。
「の 能面って……」
「あぁ、そんなの奈緒のことに決まってるじゃん。こいつの表情変えられるなんて、私ですら出来ないのに」
ぶぅ- とスポーツドリンク片手に唇を尖らせる瑠衣さん。
それにしても…能面って……。
「そりゃ最初の内は叩きたくなる位生意気でしたけどね-」
「えっ?!静架っ!!?」
あんまりにもさらっと静架が返すので、私は思わず身を乗り出した。
静架…、そんなに気に食わなかったのか。
「まぁでも、付き合っていく内に、段々そういう所も可愛いかなって思えるようになりましたし」
どきっ
──可愛いかなって思えるようになりましたし。
何故だろう、嬉しい…。
というか何というか…、心が暖かくなるような。
ほんの少し、動悸が速くなって、頬も桃色に染まる。
やだ…、私、どうしたんだろ。